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2013-07-01

天使のはしご

130701

これは、今日の18:20頃、熊本の空。

雲の隙間から、木漏れ日のように夕陽が降りてきて、
地表の田んぼに注いでいました。


天使のはしご。 こんな風に呼ばれています。


今日、このはしごを一人の天使が登っていきました。


その天使に別れを告げるために、僕は日帰りで熊本の地にいたのです。


大切で大好きで、そして尊敬し、誰からも愛される人でした。

一昨日、土曜日の朝、突然届いた訃報。

からだ中の力が抜けると共に、あまりの急な知らせに
しばらくは涙すらでませんでした。

3年に及ぶ闘病生活があったなんて、その日まで知りませんでした。

遠くに住む僕たちに心配をかけたくない。
そんな彼女の優しさや気遣いが届いてくるようでした。

悲しい知らせ、驚き、怒りにも似たような憤り。
でも、頭の中に浮かんでくるのは、笑顔と優しい声ばかり。
その笑顔と、ちょっとかわいい声がセットで聞こえてくるのです。


自分のことは、そっちのけ。
人のため、相手のために、尽くすこころ。やさしさ。そして笑顔。
時には、これPCで打ったのって思うくらいの、暖かい長文のメールを
思い悩む仲間や、友人、後輩に打ってくれる。
そんな人でした。


僕が千葉で仕事を始めた2006年。
彼女はその日から、同じ土地で新婚生活をスタートさせました。


彼女の最愛のご主人は、ダンプカーのような大きな身体と
大きな優しさに満ちあふれた最高の人。
ご主人の同僚であった僕は、そのご主人を兄のように慕い、
このご夫婦の愛の巣にまるで親族のように出入りをしていました。


僕が来るのが分かると、彼女は旦那さんと僕のために
ヘルシーで、彩り豊かで、そして、ご飯のおかずになるような
素晴らしい手料理をたくさん用意してくれていました。

そして、五合のお米。

いくら、僕ら男二人でも、そんなに食えません。
「だって~がちゃ来ると心配なんだもん」
それが、彼女の口癖でした。

千葉で一緒に過ごした時間は3年間。

僕も、彼女もそしてご主人も、千葉を離れ。

ご夫婦は熊本へ。
僕は埼玉へ。


それから毎年のように、「今年こそ行くね」と
僕は念仏のように唱えては実現が出来ぬまま、
今日を迎えてしまいました。

ご夫婦に会えたのは、千葉を離れてからの6年間で1度きり。

訃報をきいて、葬儀の案内が届き、たった15分で
飛行機・レンタカーの手配ができるのです。

でも、今日まで行くことができませんでした。

遺影に向かって手を合わせ、最初に出てきた言葉は
「逢いにこれなくてごめんなさい」でした。

苦しい抗がん剤の治療。
まだ小さな娘さんを思う気持ち。
大切な友人を思う気持ち。
そして、ご主人・ご家族を思う気持ち。

彼女の優しさがあるからこそ、彼女自身も辛かったのでは
ないかと、つくづく感じてしまいました。


今日の朝。
熊本に着いた時、雨がたくさん降ってきました。

涙雨だったかもしれません。

そして、静岡と埼玉から、晴れ男が駆けつけたことも
あり、式が始まる頃には雨も止んでくれました。

僕は仲間と、思い出のドライブコースを巡るために
阿蘇方面をぐるりと周り、熊本と彼女に別れを告げながら、
空港に向かっていました。

空港まであと20分。

そんなとき、この 天使のはしご が現れたのです。

まるで、僕たちを見送ってくれるように。
3人でしばらく立ち尽くしてしまいました。


訃報をきいた時から、僕はずっと神を恨んでいました。
ふざけるな と。
なんで、なんで、あんな素敵な人が召されなければ
ならないのか。行き場のない憤りしかありませんでした。


でも、そんな苦しい怒りや悲しみや辛さも、
この風景が和らげてくれました。

来て良かった。逢いに来てよかった。

たった10時間の、熊本滞在だったけど、僕たちにとっては
かけがえのない10時間になりました。


こうして、PCに向かっている間も、彼女の優しい笑顔と声が
写真から聞こえてきそうです。


また一人、僕は大切な仲間を失いました。

でも、僕に大きな守り神が、一人増えたのです。

たった40年の生涯。
まだまだ周りに配布予定だった彼女の優しさは
今度は、空から降ってくるはずです。
それも、全国にいる仲間のところに。

僕はその力の大きさに頼っていきたいと思います。

今度熊本に行くときは、もっとゆっくり、そして思い出を
かみしめながら、そして笑顔でワクワクして行きたいと
思います。

そのときは、くまもんのモデルとなったと噂のご主人に、
おいしい馬刺しと豚足と、いきなり団子をごちそうになります。

その時まで、後悔をせぬよう、一生懸命に生きてみようと
思います。

彼女に出会えたこと。それは、僕の一生の宝です。
本当にありがとうございました。
そして、辛い辛い闘病生活お疲れ様でした。

ゆっくりゆっくり休んでください。

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