« 越塚勇人さん | トップページ | 民主惨敗の夜に »

2010-07-09

最高裁の和解勧告

タイトルだけ見た方は、違和感を覚えたかも知れません。
けれど、僕にとってとても大切な和解勧告でありました。

まずはこの記事を読んでください。
Nakahara2

この記事にある、佼成病院は僕の産まれた病院。

そして、中原利郎先生は、僕の小児科の主治医でした。

幼少の頃、気管支喘息の発作を度々起こしていた僕は
深夜の救急外来や入院を繰り返し、中原先生は小4~中2にかけての
僕が母と共に最も信頼を寄せていた主治医でした。

明るく、やさしい笑顔。
ユーモアがあり、いつも何か面白いことを言って和ませてくれる。
暖かいひだまりのような、柔らかい雰囲気の先生でした。

深夜の入院で不安になっているときも、とおりがかりにふと
顔をだしてくれたり、
発作がひどく精神的にひどく弱気になっている時には顔をひっぱたいて
「しっかりするんだ!」と励ましてくれたり。

今ふと思い返してみると、自分が保育士として子どもに接する時の
モデルになっている気がします。

喘息もある程度克服し、小児科も卒業していた僕は中原先生の
ことなどすっかり忘れていました。

でも、4年前だったかな。

千葉で仕事をしていて、ふと深夜に見たYahoo!のニュース。
「小児科医の自殺、労災認定確定へ」

元々小児医療の世界に興味のあった僕はどんな内容なのか
なにげなくクリックをしました。

そこには、遺影になっている中原先生の写真が載っていました。

知りませんでした。
もう10年近くも前に中原先生がなくなっていたことを。
悲しくて、悔しくて。深夜のサービスセンターでPCの画面の前で
号泣していたことをよく覚えています。

労災認定は、厚労大臣が上告しない決定を出して、確定。
しかし、病院の責任を問うてきた損害賠償の民事訴訟は
敗訴と上告を繰り返し、最高裁まで持ち込まれていました。

1億3000万円の損害賠償請求が、700万円の和解。
金額だけ見ると、本当にこれでいいのか疑問を持つ部分もありますが、
敗訴を繰り返してきた中で最高裁が和解勧告をしたこと、
また、「日本の医療をより良くしていくために」という文言が
付け加えられていたこと。

司法の世界は僕は分かりませんが、異例のことのようです。
そして、奥様と小児科医になられた娘さんも納得をして
和解勧告を受け入れたようです。

労災認定と、民事訴訟が一段落し、
小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会
も年内で解散するそうです。

遺族の奥様、のり子さんともこの事件を知ったことをきっかけにメールの
やりとりをさせて頂きました。

奥様と娘さんにとって、ようやく一息ついて中原先生と3人で
家族水入らずでゆっくりできる日が近づいてきたのだと思います。

僕にとって中原先生は大切で大好きで、そして今思い返してみれば
尊敬をしている大人の一人でした。

今こうして、子どもに接する仕事に就き、中原先生のような
暖かくて勇気をあたえられるような大人になりたいと強く思うのです。

いつか墓前に花を手向けに行きたいと思います。

|

« 越塚勇人さん | トップページ | 民主惨敗の夜に »

コメント

>しゃりさん
僕は自殺なんて絶対に認めたくない。
意味のある自殺なんて絶対にいやだ。
でも、こうして、彼の残した想いを繋げていくこと
だけは大切なんだと思うんだ。
犠牲の上に成り立つ社会は悲しいです。

投稿: Gacha | 2010-07-12 02:25

>いもーと!さん
日本の小児医療は危機的状況にあるのは、
ここ10年ほとんど変わっていないそうです。
消費税10%も、子ども手当もいいけどさ。
どうしてこういう問題が明らかなのに抜本的な
改革が行われないのだろう。と寂しくなりますね。
是非、そのお友達にも中原先生の存在をお伝えください。

投稿: Gacha | 2010-07-12 02:24

信頼できるお医者さんが
世の中の犠牲になるなんて考えるだけでもつらすぎる。

もっといい世の中にしたいよ。

投稿: しゃり | 2010-07-11 22:47

わたしの親友も、小児科医。旦那もお医者さま。
喘息で入退院する息子を抱え、自分の医院以外に、
夜間救急での治療、他の病院で当直もこなしてます。

会うときは元気で、いつも明るいけど、
本人も喘息を抱えてる。

心配になってしまう・・・。
お医者さまが無理しなくてすむような日は来るのかな。
必ず来てほしいな。必ず。

投稿: いもーと! | 2010-07-11 22:14

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 越塚勇人さん | トップページ | 民主惨敗の夜に »